(以下、敬称略しますが申し訳ありません)
▽良くも悪くも大沼頼りのチームであったと思われる。
▽今期(2009秋〜2010夏)は、前年から好投を続けていたエース、大沼を中心に
阿部(斗)、高橋(侑)等これまた前年から活躍の選手がまとまり、
秋から期待の持てる好チームで、前年の芹沢擁するチームと遜色無いチーム作りができていたと思う。
秋
▽59回大会以来の秋季東北大会出場も期待されたチームだったが、
中部大会本戦で仙台商、敗者復活戦で東北学院と投手力が優れたチームとの接戦の末破れ、
地区大会敗退。
やはり好投手擁して大会を勝ち進むには打撃力という課題が強く残った大会となった。
春
▽課題を充分克服して迎えた春という印象を受けた。
中部大会では、くじ運に恵まれた感も有ったが、決勝までノーエラーで進み、
得点力という点でも、粘り強い打撃で存在感を見せたが、やはり強豪校と闘うには
やや非力な感が有った。
▽初戦の仙台高校戦は荒れた試合となったが、あの天気(霙混じりの雨。気温3℃)では
評価のしようが無いだろう。また、主力を温存した決勝・仙台育英戦は
控えも含めた「チーム力」では流石に敵わないという結果になった。
▽三回戦、東北学院榴ケ岡戦では、相手から7失策をもらいながらも
初回以外は相手投手・森の術中にはまり、凡打の山。
相手のミスにつけこんでコールドで決められず、夏に向けての課題となった。
▽四回戦の仙台東戦は、東高堀切との投手戦。
終盤に集中力を見せ、4得点し逆転したが、相手の失策がつかないミスに助けられた感も有り、
やや不安な勝利であった。
春県大会
▽初戦、二回戦の東北高校戦が今期最高の試合となった。
大沼が二桁奪三振に、打撃陣が7点の援護で勝利。
しかし、大沼は164球と、終盤は球威も衰え、夏勝ち上がるには球数の節約が必要であるという
課題も見つかった。
▽三回戦の柴田戦は、大沼温存。
しかしエース不在のチームがここまで変わるかという荒さ、脆さを見せ敗北。
夏のシードを得る事はできなかった。
エースが精神的支柱であると同時に、守備の要でも有る投手がかわり、
内野陣のテンポも狂い序盤から失策が相次ぐ。
総合的なチーム力を鍛えるのは流石に難しいか。
夏
▽課題としては、大沼の球数と、バックの支援。
大沼頼りの試合運びから、失策を減らしバックに任せて打たせて取り、
大沼の負担を減らす。そして、打撃を強化し、試合を有利に進める。
一回戦から三回戦までは格下のチームとの対戦。
ここを楽に進めなければやはり強豪ひしめく上位を勝ち進む事はできない。
▽しかし三回戦までは苦戦が続いた。
初戦、本吉響戦では、大沼をライトに下げたあと、後続が捕まり2点差に詰め寄られる。
結局大沼の救援を仰ぐ結果となった。
二回戦の岩ヶ崎戦では、格下だが守備が整ったまとまったチーム相手に
「効率的な得点」を見せたが、決めきれず結果大沼の無安打無得点試合という
大記録を作ったが、ここはやはり5〜7回で決めたい試合であった。
▽問題は三回戦。やはり中堅どころの整ったチーム相手には苦戦する。
大沼が1失点と耐え、終盤2得点を挙げ逆転勝ちしたが、
やはりシード校クラス(春ベスト8)が見せる試合運びでは無かった。
▽四回戦は春ベスト4のシード校相手に好ゲーム。
県内屈指の戦力を誇る大崎中央相手に大沼は危なげ無い投球を見せ、
上手い攻撃で勝ち越し、2-1で勝利。
ここまでの試合では、大沼は100球前後で抑え、投手の課題は充分克服し
素晴らしい仕上がりを見せていたが、
打撃陣は春に比べても非力(やはり他校の投手力が上がってきたのだろう)であるという
印象は否定出来ない。
▽そして五回戦。春は完勝している東北高校戦。
大沼は本調子では無く、序盤から2点を背負う苦しい展開。
序盤をよく2点で抑えたという展開で、その後は力も乗りしり上がりに調子を上げていく。
しかし打撃陣は相手の倍の8安打を放ちながらも無得点で完敗。
夏井の好投もさることながら、菅井捕手の好リードもあり決定力を欠いた。
総評
今期は大会屈指の右腕、大沼の好投も有り、秋季から夏期まで
安定した試合運びを見せた。
しかし甲子園へ行くには、やはり打撃・守備を含めた総合力と、
ソツ無い試合運びができる「勝利力」というものが大切である。
しかし、過去には(現在でも)一人の強力な投手が力投し勝ち進むチームも有れば、
昨年夏、千葉代表になった八千代東高校のように総合的に飛び抜けた選手が居ないながらも
上手な試合運びと、固い守備で勝ち上がったチームも有る。
昨夏の八千代東は、大会屈指と呼ばれる好投手・強打者は居なかったものの、
試合を作り大崩れしない投手・ここ一番で集中力の高い中軸、そして何よりも
あの固い守備で安打を打たれないという強みが有った。
今年の一高に何が足りなかったかと言われると、守備・打撃・走塁・作戦など多々あるかもしれないが、
甲子園に行く為に足りなかったものは、殆ど無いと思われる。
あと1点が、あと1本があれば〜という展開は、逆を返せば怪物が居なくても
上位は狙えるという事だったと思う。
一高敗戦後・一高の居なかったブロックの宮城大会にも触れると、
白石・仙台商・東北学院も決して甲子園に行く為に足りない何かがあったチームでは無い上、
決勝戦で大敗した気仙沼向洋高校も、決して育英に何もかもが負けていた訳では無く、
ついた点差よりも甲子園にあと一歩まで近づいたチーム力であったと思う。
東北高校戦での終盤の粘り、古川学園戦での集中力、東高戦でのピンチに屈しない気力、
その全てを取っても決勝にふさわしい実力のあるチームであった。
やはり仙台育英が長年培った「勝利力」は素晴らしいもので、
是非とも甲子園では勝ち進んで欲しい。
(一つ苦言を呈すと、やはり仙台育英は打撃力という点では非力だと思う。
上位や、甲子園出場クラスのチームにどれだけ打てるか。
しかし前述(仙台育英戦戦評)の通り、佐々木監督を中心に打撃に関しては
工夫、努力をしている事が見えるので、甲子園本戦が楽しみではある)
最後に、秋から宮城県を引っ張った秋優勝の古川学園、秋春東北大会出場の東陵、
高い打撃力、投手力を見せ総合力では県内トップクラスの大崎中央、
県大会に安定して出場してきた柴田、利府、東北、石巻、一迫商、気仙沼
夏にしっかりチームを作ってきた仙台商・東北学院・白石、
そして、春秋不発も夏意地を見せた志津川・迫桜・泉・泉館山。
残念ながら冬を越えて怪我、不調、チーム問題などで上位に上がる事ができなかった
泉松陵・石巻商・東北生活文化大学高校。
そして出場叶わなかった上沼高校・他数高を含む全ての宮城県内野球部員のみなさん。
結果は仙台育英学園高校の優勝でしたがこれらの高校も今大会では
それぞれすばらしい実力を見せ、これからの宮城の実力をどんどん押し上げてくれるであろう
期待を持てました。これからも頑張って、是非とも甲子園・全国制覇を目指して下さい。